お薬のお話〜亜鉛補充で気をつけるべき点とは?
こんにちは、やま茶です。
今回は、ノベルジン®︎やプロマック®︎(保険適応外)を用いた亜鉛補充について、薬剤師として知っておきたい点をまとめてみようと思います。
Q. 酢酸亜鉛を味覚障害で半年間100mg /日で内服している29歳女性(164cm, 44kg)の患者さんが少し息切れや立ちくらみをするようになってきたと訴えがありました。 あなたは何を考え、どう介入しますか? うつ病の治療中で内服薬はセルトラリン50mg /日と酢酸亜鉛100mg/日の2剤(do処方)とします。食事制限のダイエットを1年前からしており偏食であると申し出あり。採血データはありません。
※上記のQ.に対して正解はありません。以下の情報を参考にbrain work をしましょう
亜鉛は、人間が生命活動を行う上で必須の微量元素
その亜鉛が低下してしまう原因には、偏食やストレス、肝疾患、腎疾患、褥瘡等、様々な原因があります。
亜鉛が不足すると、味覚障害や食欲低下、皮膚炎、脱毛、貧血等の多岐にわたる症状が出ます。
前置きはこれくらいにして、お薬のお話にいきましょう。
ノベルジン®︎とプロマック®︎の亜鉛補充による気づかれにくい副作用
以下は、ノベルジン®︎とプロマック®︎の添付文書を一部抜粋したものです。
赤線の箇所を今回は見ていきたいと思います。
亜鉛補充による銅欠乏症です。
高用量の亜鉛投与により、消化管での銅の吸収が阻害され、銅濃度が低下し銅欠乏症となり、貧血、好中球減少、神経症状等が出現することが知られています2)。
イギリスにおける、高用量の亜鉛を投与された患者さんの小規模実態調査3)によると、70人の亜鉛投与患者さんのうち2人が血清銅濃度が測定され、1人に銅欠乏症の副作用が報告されていました。
また、70人のうちの9%(6〜7人)に原因不明の貧血がみられ、7%(4〜5人)は銅欠乏症によると思われる神経症状が発現していました。
つまり、高用量の亜鉛投与時に副作用としての銅欠乏症の頻度は低いが、貧血や神経症状が血清銅濃度低下によるものと認知されていないこと、銅濃度を測定していれば防げることがわかります。
上記の事実は、薬剤師として血清銅濃度測定の提案や銅欠乏症の症状のモニタリング等、介入できそうですね。
亜鉛補充における高用量とはどのくらい?
メーカー等から明確に◯mgから高用量という規定はないのですが、文献を参考に薬剤師として目安になる用量を探ってみました!
アメリカミネソタ州からの文献2)によると、亜鉛110〜165mgを10ヶ月間投与した症例に銅欠乏症がみられたこと、
また、以下の日本の透析患者でのデータ4)で、銅欠乏症を発症しないと考えられる亜鉛の血清上限濃度と1回50mgを1日2回投与した血中濃度データから、亜鉛100mg以上/日(参考までに、亜鉛の1日摂取量は15mg, プロマック®︎150mg/日だと亜鉛33.8mg, ノベルジン®︎は規格量=亜鉛量)を目安にみておくのもありかと思います。
亜鉛補充する上で採血の頻度は?
こちらも文献を参考にみていきます。
1日100mg未満で使用している患者さんはそこまで頻回にフォローする必要はないと思われますが、貧血や好中球減少、神経症状がないかモニタリングは必要でしょう。
これらが疑われたらすぐに採血を提案し、銅を摂取(2〜3mg/日)するよう促すと良いと思われます。
しかし、透析患者さんや肝硬変患者さん等、栄養状態が悪化している方は、低アルブミン血症(アルブミンに結合できない亜鉛は尿中に排泄される)であるが故に、亜鉛を高用量投与しないといけない場合があります。
その際には月1回の頻度で亜鉛と銅を測定しても良いと思われます4)。
メーカーのHPには、血清銅の測定のタイミングについて以下のような記載もあります。
血清銅濃度については、添付文書には本剤投与により血清銅濃度が低下する可能性があるため、血清銅濃度を定期的に確認することが望ましい1)と記載しております。
なお、血清銅の測定については、亜鉛欠乏症の診療指針2)の「亜鉛投与中は、定期的(数ヵ月に1回程度)に銅、鉄を測定する。」の記載を参考にして頂き、医療機関の判断で実施して下さい。
1) ノベルジン®錠25㎎・50㎎ インタビューフォームP7(第4 版、効能追加等に伴う変更等)
2) 児玉 浩子、他:日本臨床栄養学会雑誌2016; 38(2) : 104-148
亜鉛投与により銅欠乏症になると、鉄の利用を抑制するようです。そのため、数カ月に亜鉛・銅・鉄濃度を測定することが推奨されています。
つまり、栄養状態不良の方に亜鉛100mg以上/日投与されている場合は頻回に(月1〜数カ月に1回)亜鉛と銅と鉄の測定を提案していきましょう。また、貧血や神経症状等のモニタリングも欠かさずに!
貧血の原因は鉄不足じゃなくて、銅不足によるものかもしれません。薬剤師として知っておいたほうが良いでしょう。
※ 臨床判断を行う際には、患者背景や最新の情報を考慮の上、個人の責任のもとに行いましょう。
以下のページに有料(100円)になりますが、症例にどう介入するか、参考例を載せています。
基本的に本記事の内容を参考に回答しています。
どうしても気になる方は購入していただけると嬉しいです。
お薬のお話〜亜鉛補充で気をつけるべき点とは?|やま茶|note
本記事は以下の文献を参考に作成しています。
1) ノベルジン®︎、プロマック®︎の添付文書.
2) H N Hoffman 2nd et al. Zinc-Induced Copper Dificiency. Gastroenterology. 1988 Feb;94(2):508-12.
【傷ついているあなたへ贈る】攻撃的な人に反論するための思考法
お久しぶりです、やま茶です。
大雨大変でしたね。
気圧の低下も激しくてわたしだけでなくわたしの周りの人も頭痛やだるさを訴えてました。
日頃からストレスを溜めない・感じない過ごし方の大切さを痛感します。
さて、とある本を読んでいたら、攻撃的な人への対処法についてひらめいたので文章にしていきたいと思います。
3年程前にパワハラで悩んでたことがあるんですよ、わたくし。
実はこの時にこんな本を読んだんです。
この本を読んで、なるほどな!とは思ったのですが、対処法としては、できるだけ避ける・言い返す・自分を守るなどで、なんか足りないなと思っていたんです。
職場や家族など身近に攻撃的な人がいると「できるだけ避ける」が対処法だと提案されても、それができないから困ってるんですよ!
となりますし、「言い返す」にしてもどう言い返して良いのかわからないから困ってるんです!(本書にもヒントは書いてありましたがわたしはしっくりきませんでした)
ということで、もう少し「腑に落ちる何か」が欲しいなとモヤモヤしていたのですが、約3年後....ひらめきました!(笑)
それをこれからこちらに書いていきたいと思います。
・攻撃的な人の心理(軽く触れます)
・攻撃的な人に反論するための思考法(わたしの閃き〜100%完璧な解決策ではありませんが一助となれば幸いです)
上記の流れで書いていきます。
職場の人間関係で悩んでいる人の一助にもなれば幸いです。
では行きましょうっ!
他人に対して攻撃してしまう人の心理
攻撃というといろんなパターンがあると思います。
パターンは様々ですが、そういう人たちの心の奥底には共通のものがあります。
それは、自己否定です。
人間って自分のことを肯定できないと辛いんです。
自分で自分を肯定できないから、自分を守るために他人の存在がいるのです。
他人と比較して自分を優位に立たせたり、他人からの承認を得て、自分を肯定するのです。
この世に生きているだけで人間は価値があるという事実が本来わたしたちが自己肯定をする根拠なのですが、
幼少期に親からの適切な愛情を十分に得られなかったり、大きな傷つき体験を受けた時に周りからの適切なフォローがなかったために、自己否定の方向に認知が歪み、自分に価値を感じられなくなってしまい、無意識のうちに、自分を守るために、他人を否定したり、他人の承認がないと自分を肯定することができなくなったのです。
また、本来の生まれ持った性格も関係してきます。
「思いやり」や「自己愛」の程度やバランスも他人への攻撃性に影響します。
以上から、他人へ攻撃してしまう人の心理はこうです。
自己否定を基盤とする人が、認知の歪みにより傷つき、他者への思いやりより自己愛の方向に傾き(他人を許すことができず)、その傷つきを癒すために他人へ攻撃してしまう、ということです。
イメージにするとこんな感じです。
つまり、攻撃するという行為は、傷つきを癒すための行為になります。
明らかにこちらから他人を傷つけるような行動はとっていないにも関わらず、攻撃してくる人は、認知が歪んだまま過去の経験に囚われていて傷ついているんです。
ですから、傷つくたびに他人を攻撃しないと、自分を守れないんです。
だんだんかわいそうに思えてきましたね。
パワハラという行為自体はもちろん悪い行為で許されるわけではありませんが、パワハラ被害にあった人と同じように、パワハラをしてしまう人、攻撃をしてしまう人も救われないと問題は解決しません。
攻撃的な人に反論するための思考法
攻撃的な人といっても攻撃パターンは様々です。
また、攻撃される側の性格も様々です。
ですのでこれだけで100%解決できるよ、というわけではないのでそこはご理解いただきたいと思います。
まず、やってはいけないこととしては、 よく考えずに反論し返すことです。
既に説明しましたように、攻撃してくる人は自己否定が基盤にありますから、そこにさらにわたしたちがよく考えずに反論してしまうと、攻撃的な人はさらに攻撃された(自分が否定された)と思い、優位に立とうとさらに攻撃的になります。恨みを買われてしまいます。本末転倒ですね。
まずすべきは、観察です。
・なんでこの人は攻撃してくる(傷ついている)のか?
・この人はどのように反論すれば理解してくれそうか?(理解してくれるという期待はしてはいけませんが、戦略上考えます)
相手の情報とそれに対する戦略なしでは、確実に勝利できません。
相手の傷つきや認知の歪みを理解し、戦略を練ります。
もちろん、余裕がなくて逃げれるのであれば逃げましょう。
逃げれないのであれば、戦略を練って少しでも状況の改善をはかるしかありません。
自分をどのように守るかを考えるのも大事です。
以下の書籍もとても参考になりますので余裕があればご一読ください。
わたしがこれから紹介するのは、攻撃的な人に反論するための思考法で、これは自分を守りつつ相手を救う(かもしれない)方法でもあります。
こちらの本を読んで閃きを得ました。
そのヒントとなったのは、この本にある「10種類の認知の歪み」です。
1. 全か無か思考:物事を白か黒のどちらかで考える思考法。少しでもミスがあれば完全な失敗と考えてしまう。
2. 一般化のしすぎ:たった1つの良くない出来事があると、世の中すべてこれだ、と考える。
3. 心のフィルター:たった1つの良くないことにこだわって、そればかりくよくよ考え、現実を見る目が暗くなってしまう。
4. マイナス化思考:なぜか良い出来事を無視してしまうので、日々の生活がすべてマイナスのものになってしまう。
5. 結論の飛躍:根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう。
6. 拡大解釈と過小評価:自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価する。
7. 感情的決めつけ:自分の憂鬱な感情は現実をリアルに反映している、と考える。
8. すべき思考:何かやろうとするときに「〜すべき」「〜すべきでない」と考える。
9. レッテル貼り:極端な形の「一般化のしすぎ」。自分や他人にネガティブなレッテルを貼ってしまう。
10. 個人化:何か良くないことが起こったとき、自分に責任がないような場合にも自分のせいにしてしまう。
この認知の歪みは、もともとうつ病患者に向けた認知行動療法の道具です。
しかし、考えてみてください。
私たちも一部該当しているところはありませんか?
特に強いストレスを感じた時、傷ついた時は認知は歪みやすい傾向にあります。
攻撃的な人からの言葉は私たちを傷つけます。
なぜなら、攻撃的な人は、私たちを否定するような言葉や態度を発するからですからです。
真に受けていては心がやられてしまいます。
ここで、こちらから働きかけることで、認知の歪みに気づいてもらう、そして、相手が自己否定されていないと納得して相手の傷が癒されれば、こちらの勝ちです。
攻撃的な人は、言い返さない人や、言い返せない(立場にある or 性格の)人を狙って攻撃します。
この10種類の認知の歪みを頭でしっかり理解し、攻撃されたとき、はじめは心の中で相手に反論する練習をしましょう。
これは自分の自己肯定を守る方法でもあり、相手に認知が歪んでいることを気づかせるきっかけにもなるのです(相手を救うかもしれない、というのはそういうことです)。
反論は、この10種類の認知の歪みを相手に諭すように言い返します。
相手を責めるような言葉は使用しない(心の中だけに留めましょう)よう十分に注意を払う必要があります。
相手が責められたと感じると、あなたへの攻撃は強くなるかもしれません。
ですので、そこは臨機応変に、声に出して反論するのか自分の中だけで反論するのか、判断しましょう。
自分の心の中で反論するだけでも十分に自分を守る効果があります。
では、具体的に、みてみましょう。
※あくまで例なので、うまく相手を逆なでしないような言い方にすり替えてください。
※後半の()の文章は、心の中の思考です。自分を肯定するために反論は多様に思考し、訓練なので楽しく行きましょう(笑)
※相手を承認するような一言を添えるのもありだと思います(相手は自分を肯定してくれる他人を必要としています!)。
※何種類も重複して複雑に認知が歪んでる人間もいるのでどうか、組み合わせて反論してください。
1. 全か無か思考:物事を白か黒のどちらかで考える思考法。少しでもミスがあれば完全な失敗と考えてしまう。
攻撃パターン「お前には失望した。」
言い返す「あなたの期待に応えられず申し訳ないですが、残念ながら私は完璧ではありません。完璧な人間はこの世にいないですよ。(この人は自分中心に世界はまわると思っているんだな)」
3. 心のフィルター:たった1つの良くないことにこだわって、そればかりくよくよ考え、現実を見る目が暗くなってしまう。
攻撃パターン「お前はここがダメでほんと毎回毎回これができないよな。ほんとお前は...(続く)」
言い返す「確かに、わたしの弱点ではあります。どのようにしたら克服できるか具体的に教えて貰えますか?(わたしの弱点ばかり探すのにたくさんの時間を使ってこの人はわたしが自分より優れていると認めているんだな。)」
5. 結論の飛躍:根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう。
攻撃パターン「仕事やる気ないでしょ」
言い返す「わたしの何を根拠にそう思うんでしょうか。(思考が悪い方向に歪んでてストレス溜めててかわいそう)」
7. 感情的決めつけ:自分の憂鬱な感情は現実をリアルに反映している、と考える。
攻撃パターン「腹たつ。お前のせいだ。」
言い返す「わたしはあなたの感情まではコントロールできませんのでわたしの責任ではありません。(自分の責任を他人の責任にして見た目は大人だけど心の成長は小学生で止まってるのかな)」
8. すべき思考:何かやろうとするときに「〜すべき」「〜すべきでない」と考える。
攻撃パターン「(理不尽にできないものを)これはこうじゃないとダメです」
言い返す「ぜひ、お手本を見せて貰えますか?これをするのであればどのように他の仕事をまわすのですか?」
9. レッテル貼り:極端な形の「一般化のしすぎ」。自分や他人にネガティブなレッテルを貼ってしまう。
攻撃パターン「お前は仕事できない人間だ。生きている価値がない人間だ」
言い返す「ほんとにわたしは何1つも仕事できない人間でしょうか?この仕事は誰がしたんでしょうか?(人の価値を勝手に決めて自分のこと神様だと思ってるのかな)」
10. 個人化:何か良くないことが起こったとき、自分に責任がないような場合にも自分のせいにしてしまう。
攻撃パターン「失敗したのはあなたのせいだ」
言い返す「確かにわたしはここは関わりましたのでここの責任はわたしにあると思います。でも、あなたもここは関わっていますので一緒に改善策や対応を考えるのが筋だと思います。」
はいっ!お疲れ様でした!
なんとなく理解できたでしょうか?
認知の歪みを知って反論する練習は、ここからここは違う、といったように相手の発言を真に受けない訓練にもなりますね。
相手が理解し納得すれば、攻撃は減ると思います。
ですが、世の中には感情論が全てで物事を判断し、論理が全く通じない人間もいるので、相手には期待せず、そういう場合は、時間やエネルギーの無駄ですので、心の中だけで反論し、他人を巻き込み別の対策を考えましょう。
もちろん、逃げれるなら逃げてください!!!
言い返せないあなたの一助になれば幸いです。
深呼吸で心が落ち着くワケ〜自律神経と心拍変動とストレス反応
こんにちは、やま茶です。
実は最近とてもハマっている本がありまして、
かなり分厚い本なんですが、情報量と質が素晴らしくて熱中しております。
こちらになります。
今回は、この本の内容のごく一部を取り上げて、深呼吸の効用とその裏で何が起きているかについて書いていきたいと思います。
・自律神経と深呼吸
・自律神経と心拍変動
・自律神経とストレス
・PTSD患者における心拍変動とストレス反応
の4点を掘り下げて解説したいと思います。
深呼吸が心を落ち着かせる仕組みを知ることで、ストレス感じてるな→深呼吸をしてみようと、深呼吸をストレス対処として取り入れる機会が増えれば嬉しいです。
自律神経と深呼吸
自律神経は、交感神経と副交感神経からなり、体全体にこの両方の神経は行き渡っています。
この交感神経・副交感神経はどちらか一方が優位に活動しており、生命活動の大事な役割を担っていることはもうご存知ですね。
(汗腺や立毛筋は交感神経のみになりますが例外中の例外です)
parasympathetic:副交感神経
sympathetic:交感神経
茶色い線は自律神経それぞれを表しています
上図のように自律神経はそれぞれ各臓器で重要な生命活動の機能を担っています。夜間は副交感神経優位、日中は交感神経優位に活動します。また、文字通り、”自律”しているのです。私たちの意志では動かせません。
交感神経・副交感神経どちらが良い悪いとかではなく、相対的にバランスがとれていることが理想とされています。
このバランスが乱れると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできていないということなので、期待されない方の神経の活動が優位なままになり不快な症状が出てしまいます。
例えば、心臓を例にあげますと、緊張状態が続くと、交感神経が過剰に活動し、”動悸”や”息切れ”といった症状がでます。
この時、”緊張している”と感じるのは脳ですから、脳から自律神経へシグナルが伝達され交感神経の過活動が起きているわけです。
そのほかにも、緊張してお腹が痛くなったり、疲れが溜まってめまいを感じたり、ストレスが続いて立ちくらみを感じることが多くなったりなど、
自律神経症状で悩んだことがない人はほぼいないと思います。
そして、強調しておきたいのは、自律神経と接続している脳(視床下部・脊髄)だけが自律神経に働きかけることができる、わけではありません。
普段の生活では意識しませんが、私たちは、私たちが意識してできる特定の動作を介して自律神経へ働きかけることができるのです。
それが深呼吸です。
息を吸うとき、交感神経系が刺激されて心拍数が増加します。一方、息を吐くと副交感神経系が刺激され、心臓の鼓動は遅くなります。
呼吸は意識して調節できますね。
2秒間息を吸って、8秒間ゆっくり息を吐くを繰り返し、息を吐く時間を長めにとることで、呼吸を通して副交感神経系を刺激できるので交感神経の過活動を抑えることができ、動悸や息切れの症状は和らいでいくのです。
自律神経と心拍変動(HRV ; Heart Rate Variability)
これまで自律神経と深呼吸の関係について説明しました。
息を吸うとき、交感神経系が刺激されて心拍数が増加。一方、息を吐くと副交感神経系が刺激され、心拍数は遅くなる、この関係です。
息を吸ったり吐いたりすることによって交感神経と副交感神経の活動にリズムが出てきますので、それに同調するように心拍の変化も一定のリズムを取ります。
この心拍の変化のことを、心拍変動と言います。
このように、自律神経と心拍数は密接に関わっているので、
自律神経の活動は心拍変動で評価できます。
最近では、スマホアプリでも心拍変動を測定でき、自律神経活動量をみることができます。
自律神経の活動は血液検査等で簡単には測れません(リンパ球の数でわかるらしいですが、健康診断の採血ではそこまで測りません)ので、心拍変動は、自律神経のバランスを知る数少ない指標であり、簡単に測定できる指標でもあります。
交感神経活動が増えると心拍変動は減り、副交感神経活動が増えると心拍変動は増加すると言われています。
自律神経とストレス2)
普段私たちは、ストレスを感じても身体に症状として出ることはありません。
それは自律神経系がしっかり機能しているからです。
しかし、ストレスが多すぎると、ストレスは脳の中にとどまることはできず自律神経系を介して身体にまで影響を及ぼします。自律神経失調症とはこの状態を指します。
先ほど例にあげたように、一時的な強い緊張では動悸や息切れとして自律神経症状は出るかもしれませんが、自律神経系自体にはそこまで大きなダメージはありません。
しかし、長期にわたりストレスが多い状態(交感神経過活動状態)が続いていると、自律神経系がさらにダメージをうけ、すぐに修復できない状態になります。
ここまでくると、ちょっとしたストレスでも身体に不調がでやすくなったり、動悸が続いて心疾患へと発展してしまったりなど各臓器に慢性的で深刻な影響が出てしまいます。
このように、軽い症状から重い症状まで自律神経失調症には症状の程度に幅がありますが、この状態が長期間に及ぶと身体への負担も重くなり、がんや認知症、心疾患など、深刻な病気の原因になり得ます。
不調のサインとして早期に対処できれば、ダメージも小さく済むので、自律神経症状について知っておくのをオススメします。
また、自律神経は人間らしさを表現する心理面を司る脳の高次機能にも関わっています。
詳しくは、自律神経は、気分や記憶、情動制御に関する脳の辺縁系機能の基盤を維持しています3)。
自律神経のバランスがうまく保たれていれば、人間関係の中で侮辱されたと感じたとしても、何が起こったのかを冷静に評価できたり、衝動や情動も適切に制御することもできます。
まとめると、自律神経のバランスが乱れていると、精神的にも身体的にも不調がでやすくなります。
逆に言えば、自律神経のバランスがうまく整っていると、ストレスにもうまく対処しやすくなります。
PTSD患者における心拍変動とストレス反応
PTSD (Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害) は、簡単に説明すると、過去に経験したトラウマ体験を日常生活の中のトリガーをきっかけに再体験してしまう疾患です。
恐怖体験を思い出すとPTSD患者は、過覚醒状態(交感神経過活動状態)になります。
以下は、PTSDの過覚醒と心拍変動との関係を研究した論文です4)。
自律神経と心拍変動の箇所で述べましたが、交感神経活動が増えると心拍変動は減り、副交感神経活動が増えると心拍変動は増加することを繰り返し強調しておきます。
P(参加者):31人のPTSD患者(うち2人は部分的PTSD)
E(暴露・介入):中立な脚本のイラストとトラウマティックな脚本イラストを参加者に2分間見てもらう
C(比較):ベースラインのRSA(Respiratory Sinus Arrhythmia = HRV;心拍変動)が高かった人と低かった人
O(結果):全参加者において、中立的なイラストからトラウマなイラストへ変更後、有意に心拍数が増加した。そしてRSAも有意に減少した。RSAが低かった群は、RSAが高かった群と比較して心拍数増加時間は延長し、心拍数の回復はベースラインのRSAに負の相関を示した。
この研究からわかることは、心拍変動が低い人たちは、心拍変動が高い人たちと比べて、PTSDの過覚醒の状態が長く続いたということです。
やはり、心拍変動が低いということは、自律神経系のバランスが乱れやすいということなので、衝動や情動を制御する能力が低いということが示唆されます。
このことから、ストレス耐性を上げるには心拍変動を高めることが有効だと言えます。
心拍変動を高める方法としては、深呼吸の他にもヨガ、瞑想があります。いずれも副交感神経を高めることで知られていますね。
1分間に9回未満(1回あたり7秒以上)の深呼吸を20分継続した後に心拍変動を測定すると、心拍変動の増加が1分間に9回以上(1回あたり7秒未満)の深呼吸と比較して効果的であったという文献もあります5)。
以上より、深呼吸をするなら1回7秒以上が効率的に心拍変動をあげれるということですね。
ストレスを感じたらストレス源を取り除くのが1番有効な手段ではありますが、
補助的な方法として深呼吸をすることで、心拍変動を高める(副交感神経を高める)方法も有効だということがわかりましたね。
心拍変動、奥が深そうです。また、面白い文献あれば記事にしたいと思います。
以上、やま茶でした。
参考文献・参考図書
1) ベッセル・ヴァン・デア・コーク著, 柴田裕之訳『身体はトラウマを記録する〜脳・心・体のつながりと回復のための手法』紀伊国屋書店, 2016.
2) 渡辺正樹 著『自律神経失調症を知ろう』南山堂, 2016.
5) P Lehrer et al. Zazen and Cardiac Variability. Psychosom Med. Nov-Dec 1999 ; 61(6):812-21.
【孤独の勧め】自粛生活を楽しむための心構え【自分の内面に向き合う】
こんにちは、やま茶です。
新型コロナウイルスによる自粛はまだまだ続きそうです。
皆さんは自粛中の生活はどのようにお過ごしでしょうか?
今回は、自分の内面に向き合うことについてお話をします。
・人間関係に疲れやすい人
・普段から自分1人の時間を過ごす習慣のない人
・自粛生活をなんとなく過ごしている人
には何か参考になるかもしれません。
孤独の勧めといえば、ドイツの哲学者ショーペンハウアーでしょう。
ショーペンハウアーは「幸福は外にあるのではない。自分の内面にあるのである。」として孤独を勧めています。
しかし、孤独ってネガティブなイメージがありますよね?
孤独死とか、周囲から取り残されてしまったようなイメージ、英語でいうとlonelinessという単語がよく当てはまります。
lonelinessには「寂しい」という意味が含まれるため、人との関わりなしでは生きていけない私たちには、人と関われず孤独=不幸という認識があるのでしょう。
一方、英語にはもう一つ、solitudeという孤独を意味する単語があります。
solitudeには「(好んで)世間から離れる」という意味が含まれます。
ショーペンハウアーの孤独の勧め=solitudeの勧めということになります。
好んで世間から離れるというのは、具体的にどういうことでしょうか。
物理的に離れるのも含まれますが、普段つい振り回されてしまいがちな他人の価値観への同調(自己主張の抑制)や他人への承認欲求の追求から離れてみることをさします。
同時に、物事の価値判断をしないということです。物事が良いとか悪いとか考えず、ありのままに中立にみることです。
他人と関わると承認欲求を得るために私たちは価値判断をして競争に勝とうとしてしまいます。
競争に勝てたとしても、永遠に勝ち続けることは普通に考えて不可能ですから、競争に参加してしまった時点で幸福からは遠ざかってしまいます。
つまり、私たちが幸福を感じるためには、競争に参加しないことであり、それは価値判断をしないこと(物事をありのままにみること)、そうやって自分の内面に向き合うことが大事ではないでしょうか。
すべての物事に対して価値判断をしないというのは、もはや悟りの領域ですし、はじめは難しいと思いますので、なんとなく窮屈に感じる物事から価値判断を、良い悪いという考えを排除し中立な視点で捉えてみてはどうでしょうか。
今回のコロナウイルスによる影響も悪い視点でみるよりももう少し中立に捉えてみてみると面白いかもしれません。
誰かにとって悪いもの=悪ではありません。
他の誰かにとっては良いことだってあります。
避けられない状況ならば、一度冷静になって中立に捉え、良い側面もあることを認識した上で生活するのが精神衛生上も良いでしょう。
(個人的には、自粛の影響でインドの空が青くなったというニュースに衝撃を受けました)
人間は欲求が満たされないときに不快に感じる生き物なので、マズローの5段階欲求を参考に排除すべきものを考えてみましょう。
不快な気持ちは欲求が満たされていないということですね。
その欲求は他人がいないと(外に求めないと)満たせないものでしょうか。
どのような捉え方をするとその欲求は満たされますか。そもそも満たさないといけないものでしょうか。
逆に、満たされているものに関しては、感謝を意識すると良いと思います。
ここで私が主張したいのは、ショーペンハウアーの主張のように徹底的に孤独になれということではありません。
もちろん、徹底的に孤独になれる方はそれで良いと思います。
私の主張は、ショーペンハウアーの孤独の勧めを参考に、可能な範囲で孤独を取り入れましょうということです。
こんな時(自粛生活)だからこそ、
「外に求めず、内を満たそう」
ということです。
自分が孤独を通してどういうことをすれば気持ち的に満たされるのか、意識して考えてみましょう。
普段外に刺激を求める人は、現在のような自粛生活にストレスを感じたり、家時間を中身のないような空虚な気持ちで過ごしがちかもしれません。
私自身反省して、最近は入浴やストレッチ、新聞記事のスクラップを楽しむようになりました(笑)
こちらの記事にも書きましたが、目標を持って自分磨きをするのもオススメです。
また、瞑想も良いです。瞑想の効果については時間のあるときに書けたら良いなと思います。
これをきっかけに、自粛生活で活用できる資源で、孤独を取り入れ自分の内面を満たしましょう。
〜以下、参考図書〜
睡眠と免疫のメカニズム
こんにちは、やま茶です。
前回は睡眠をしっかりとることが肺炎リスクを下げるという論文を紹介しました。
こちらではさらにどうして睡眠が免疫に良いのか、というところを書いていきたいと思います。
睡眠がどのように免疫に影響を与えているのか
これはまだ完全に明確になっているわけではありません。
それに加え、とても複雑に要因が絡み合っているので、わかっている範囲でできるだけわかりやすく説明しますね。
キーワードは、炎症とホメオスタシスにあります。
炎症というのは、わかりやすいところでは組織の炎症でしょうか。
なんらかの理由で組織が障害されると炎症が起こります。
炎症が生じるというのは、炎症のサイトカイン(化学物質)が発生するということです。
炎症のサイトカインを介して、以下の図のように、炎症が発生すると、睡眠や免疫、中枢へと影響が及びます。
※ 相互の矢印は、炎症のサイトカインによって神経伝達が行われ、影響を及ぼしあっていることを示しています
一般的に、感染症や外傷は、炎症が起きているのは自覚できるのでわかりやすいですが、
急性の炎症とは別に、2型糖尿病・肥満・心疾患・がん等といった特定の病気では、慢性の炎症が生じています。
この慢性の炎症は、ホメオスタシスへ影響しホメオスタシスの組織修復機能等を低下させます。
ホメオスタシスとは、生体の恒常性を保つ機能で、通常の状態(健康)を維持するために常に私たちの身体の中で機能しています。
ホメオスタシスの機能は、睡眠や組織修復、免疫など多岐に渡って影響しています。
また、サーカディアンリズムも私たちの身体に存在し、太陽の光でリセットされ、約24時間の周期で動いています。こちらも、睡眠を含むあらゆる身体の機能に影響しています。
ここで、上図の説明も兼ねて一度まとめますと、
・睡眠は、ホメオスタシス(non-REM睡眠:深い睡眠)とサーカディアンリズム(REM睡眠:浅い睡眠)によって調整されている
・睡眠だけでなく、中枢や免疫もホメオスタシスやサーカディアンリズムの影響を受けている
・慢性の炎症は、中枢や免疫、睡眠のホメオスタシスへ影響し、その機能を妨げる
さらに、新しい情報を追加します。
・慢性の睡眠不足は炎症のトリガーである
・糖尿病や心疾患・ガン・ストレスは、炎症へと繋がり、睡眠へ影響する
ここまでご理解いただけたでしょうか?
睡眠と炎症は、お互いに影響しあっているということですね。
ここで重要なのが、慢性の炎症がホメオスタシスの機能を妨げるということです。
一過性の炎症は、ホメオスタシスに影響はしますが、炎症が落ち着くとまた正常にホメオスタシスは働きます。
つまり、普段の私たちの生活習慣がキーポイントとなってくるわけです。
そして、さらにわかっていることは、
・炎症は、免疫細胞の機能を障害し免疫を下げる
・炎症は、加齢(組織の老化)を促進する
つまり、炎症は免疫を下げますし、組織修復も妨げますので加齢を促進してしまうということです。
何度も繰り返しますが、睡眠と炎症は影響しあっていますし、炎症はまた睡眠以外の他の機能にも影響を及ぼしているということです。
また、他の器官で生じた炎症が、睡眠の質を下げるという逆の現象も起こります。
ここまでで、慢性の睡眠不足 → 炎症 → 免疫低下 の流れはご理解頂けたかなと思います。
では、ここで大事になってくるのは、生活習慣を正し、できるだけ炎症を起こさないこと、ではないでしょうか?
睡眠に関しては、質の良い睡眠を毎日とるという習慣が炎症を発生させないことに繋がります。
平日の起床時間と休日の起床時間が2時間以上ずれることがあれば、慢性の睡眠不足の可能性があります。
該当される方は、平日の就寝時間を30分早めてみてはいかがでしょうか?
すでに風邪をひいてしまった方も間に合います。
睡眠中に抗体が作られるので、風邪をひいてしまったらしっかり眠るのが早く治す方法です。
ワクチン接種後は十分な睡眠をとることが論文(参考文献参照)でも推奨されています。
逆に睡眠が足りないと免疫が不十分でワクチンの効果も落ちます。
十分な睡眠は感染症の予後を改善するというエビデンスもありますので、睡眠に対する意識が少しでも変わっていただけると嬉しいです。
次回は、質の良い睡眠をとるための具体策を書いてみたいと思います。
以下、参考文献
睡眠と肺炎・風邪罹患との関係
こんにちは、やま茶です。
海外ではパンデミックになってますね、新型コロナウイルス。日本にもやってきそうで怖いです。外出禁止令なんて人生で経験したことないですしある意味貴重な経験?!
そんなことより、このような事態を避けるためには一人一人が対策するという地道な努力が必要になります。
咳症状のある人は飛沫分散防止の観点からマスクは有効ですので、症状のある方はマスクを。
また、手洗い・うがいは咳症状あるなしに関わらず必須でしょう。
今回は上記以外の対策を科学的視点で解説したいと思います。
前回は、腸免疫について書きました。まだ読まれていない方はこちらからどうぞ 。
本記事は以下のような方にオススメです
・新型コロナウイルスにかかりたくない方
・マスク・手洗い・うがい以外の風邪予防策(新型コロナウイルスは風邪ウイルスです!)を知りたい方
・睡眠の免疫効果を知りたい方
マスク・うがい・手洗いは、外からのウイルスに対しての予防策ですね。
こちらでは内側からの対策を紹介します。つまり、内側から免疫力を高めるということです。
見えないウイルスに神経をとがらせるよりは、自分の免疫を高めておいたほうが堂々と毎日を過ごせますよね。やま茶は、普段から免疫を高める習慣を身につけているので、マスクなしで堂々と出歩いています。
※どの対策も100%防げるというものはございませんのでご了承ください。
睡眠と免疫
なんだ、睡眠か。そう思ったあなた!睡眠の威力をきちんとご存じでしょうか?
では早速文献を紹介しましょう。
睡眠不足は免疫力に影響を与えるということはこれまでも言われてきました。
こちらの論文は、睡眠時間と肺炎罹患のリスクの関連についての4年間調査した前向き観察コホート研究です。
P:56953人の女性看護師(37〜57歳)
EC:睡眠時間が5時間未満の人vs 8時間の人
O:年齢で調整した肺炎罹患リスクは、5時間未満の睡眠の人は8時間睡眠の人と比べて1.70倍 (95% CI 1.30-2.23)高いという結果でした。また、他の交絡因子で調整した肺炎罹患リスクも、5時間未満の睡眠の人は8時間睡眠の人と比べて1.39倍 (95% CI: 1.06-1.82)高いという結果でした。
睡眠不足と上気道炎罹患の関連を後ろ向きに調査した研究もあります。
参加者に睡眠時間と過去1ヶ月で風邪や肺炎などの感染に罹患したかどうかを聞き込みしてロジスティック回帰分析にて交絡を調整しています。
P:22726人のアメリカ人(平均46.2歳)
EC:睡眠時間が5時間未満の人 vs 7〜8時間睡眠の人
O:睡眠時間が5時間未満の人は7〜8時間睡眠の人と比べて、1ヶ月以内に悪寒や咳などの症状が1.28倍(95% CI, 1.10–1.48)あった。また、インフルエンザ・肺炎・中耳炎を含む感染にかかった人は、7〜8時間睡眠の人と比べて5時間未満睡眠の人で1.82倍( 95% CI, 1.42–2.34)高かった。
参考までにPECOは、P:対象者, E:介入や暴露(5時間未満の睡眠), C:比較対象(8時間睡眠), O:結果を意味します。
以上です。参考になりましたか?これらの研究によると7〜8時間は毎日睡眠を確保したいですね。
※実は、5時間未満の睡眠でも十分に睡眠が足りていると自覚している(日中のパフォーマンスを下げない)人では免疫は下げなかったそうですので、普段からショートスリーパーの人は無理に7〜8時間の睡眠をとる必要はありません。
今回は感染への罹患についての睡眠の効果を紹介しましたが、仮に風邪にかかってしまったとしても十分な睡眠は回復力UPにもなります。
腸免疫と併せて十分な睡眠で日頃から免疫力UPを維持していきましょう。
といってもなかなか満足した睡眠を取れない方には、忙しいビジネスパーソンでもできる良質な睡眠をとるメソッドについてわかりやすく解説されたこちらの本がおすすめです。
睡眠と免疫のメカニズムについてはまた後日記事にします。
20200408記事更新しました!
以下、参考文献
腸免疫を高める食事
こんにちは、やま茶です。
流行ってますね、新型コロナウイルス。そしてマスクしている人多いです。
マスクをめぐるトラブルもあったとか。
そんなことよりももっと有効な対策があるのをご存知でしょうか?
もちろん咳症状のある人は飛沫分散防止の観点からマスクはかなり有効です。
また、手洗い・うがいは咳症状あるなしに関わらず必須でしょう。
今回は上記以外の対策を科学的視点で解説したいと思います。
本記事は以下のような方にオススメです
・新型コロナウイルスにかかりたくない方
・マスク・手洗い・うがい以外の風邪予防策(新型コロナウイルスは風邪ウイルスです!)を知りたい方
・腸免疫について知りたい方
マスク・うがい・手洗いは、外からのウイルスに対しての予防策ですね。
今回は内側からの対策を紹介します。つまり、内側から免疫力を高めるということです。
見えないウイルスに神経をとがらせるよりは、自分の免疫を高めておいたほうが堂々と毎日を過ごせますよね。やま茶は、普段から免疫を高める習慣を身につけているので、マスクなしで堂々と出歩いています。
※どの対策も100%防げるというものはございませんのでご了承ください。
腸免疫を高める
腸はヒト免疫系の7割を担っていることをご存知でしょうか。7割ってかなり大きく寄与していますよね。腸免疫を鍛えるだけでもはや十分かもしれません。腸は食物を消化し排泄しているだけではないのです。
この免疫を担っている正体は、腸内細菌です。腸内細菌は、腸粘膜と連携して外来からやってきた侵入物を認識し除外したりやっつけたりします。しかし、腸内環境が整っていないと、腸内細菌・粘膜ともに脆弱な状態になり炎症が起き、外来からの侵入物は侵入しやすくなります。普段から便秘や下痢、胃もたれなどの消化器系症状のある方は、腸免疫は十分に発揮されていないかもしれません。
腸内環境を整えて免疫力を上げるためには、腸内環境に悪い習慣を避けて、良い習慣を取り入れることです。
<腸内環境に悪い習慣>
・ストレスを溜める
・抗生物質や痛み止めなどを常用している
・食品添加物の入った加工食品を食べる機会が多い(コンビニ弁当・スナック・ファストフード)
・飲み込むのが早い
・発酵食品(乳製品・納豆・キムチ)を食べる習慣がない
・ご飯・麺・パン・甘いおやつが大好き
腸内環境に良い習慣は、上記の習慣と反対のことをするだけです。上記のうちたくさん該当する方はいきなり習慣を変えるのは難しいかもしれません。できることからトライしてみましょう。
やま茶は、毎日納豆とヨーグルト、チーズを食べるようにしています。また、お菓子はあまり食べません。仕事の合間にどうしてもという場合は、70%のカカオチョコレートを少しつまむ程度です。ココナッツオイルをコーヒーに入れることもあります。1色あたりご飯は100g程度で抑えています。風邪を引いた時に抗生物質を飲むことはないですし、痛み止めは我慢できる程度であれば使用しません。
過去記事にて、プロバイオティクスが腸の透過性を下げ炎症を抑える(免疫を上げる)について別の視点から解説しているのでご興味のある方は読まれてみてください。
また、こちらの書籍もオススメです。
他にも、3つほど内側から免疫を上げる方法があるのですが、今回はここまで。
また、更新しますので続きを楽しみに待っていてもらえると嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました、やま茶でした。
以下、参考文献
1) Foster JA, MacVey NeuFeld KA. Trends Neurosci. 2013 May;36(5):305-12.
2) 満尾 正『食べる投資。ハーバードが教える世界最高の食事術』アチーブメント出版, 2019.
3) ジョシュ・アックス著, 藤田 絋一郎訳『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』文響社, 2018.